破綻途上国日本−残された選択肢を探る@脱成長MTG報告

掛け声倒れのアベノミクスを嘲笑うかのように、年初からの円高株安は、回復の兆しを見せません。GDPも2期ぶりのマイナス成長とのことで、消費増税の再延期もささやかれているようです。このままでは1億総奴隷社会も、冗談では済まなくなります。残念ながら、野党にも代案はありません。つまるところ、我々は成長の限界、あるいは資本主義の終焉に直面しているのではないでしょうか。持続可能な生活を考える会/農力向上委員会では、『破綻途上国日本−残された選択肢を探る』と題した問題提起を行い、脱成長MTGメンバーの皆さまと、地域自給経済社会へソフトランディングする道を探りました。

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<概要>
*日時:2016年3月6日(日)13:30〜17:00
*場所:ピープルズ・プラン研究所(有楽町線「江戸川橋」1-b出口徒歩5分)
http://www.peoples-plan.org/jp/modules/tinyd1/index.php?id=5
*定員30名(要予約)
*参加費:500円

<状況>
*問題提起

*ご参考(問題提起要旨)
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気候変動や生物多様性の危機、格差が広がる中での飢餓や貧困、そしてテロと紛争の常態化。世界はまさに、「成長の限界」に直面しています。言い換えればそれは、従来は発展の恩恵をトリクルダウンとして、それなりに公平な分配をなしえた市場経済の破綻を示す兆候に違いありません。そう。我々も消費者として加担している人類の自滅行為は、既に地球の環境容量を大きく上回っている。つまり今までの石油文明は、オールサムからゼロサムへパラダイムシフトを起こしているのでしょう。

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一方で永遠の経済成長を疑問視する動きのなかでは、脱成長、定常経済、縮小社会などといったキーワードを軸に据えて、新しいシステムの模索が始まっています。あるいはパーマカルチャーやトランジション・タウン、エコビレッジなど、サステナブルな営みに憧れる若者も少なくありません。しかし、食料自給率で40%弱、エネルギー自給率に至っては5%そこそこの我が国で、国際競争のない安泰な暮らしなど望めるのでしょうか。

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端的にいってこの国では、弛まぬ経済成長で外貨を稼ぎ続けなければ、快適便利な消費生活など成り立たちません。それどころか今以上に成長が滞って、市場が投資の対象にならないと判断すれば、国家レベルの信用といえる通貨や国債が大暴落し、それは直ちに輸入品価格の暴騰を招いて、生活物資の逼迫やライフラインの寸断にも直結するでしょう。

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冷静に省みれば、エネルギーが安く使えた時代に奇跡的な経済成長を果たして、その勢いで野放図に国民を増殖させすぎてしまった破綻途上国、日本。そうした状況を踏まえたうえで、持続可能な循環型社会へのソフトランディングができるのか、残された選択肢を探ります。

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カテゴリー:脱成長/脱消費 | 投稿者 xbheadjp : 18:10

 

デヴィッド・スズキ博士のスペシャル・トーク@東京ウィメンズプラザ撮影記録

デヴィット・スズキ氏の来日公演で、谷崎テトラ氏がワールドシフトのセッションを行うとのことで、撮影記録を請け負いました。

昨年末の歴史的な「パリ協定」を経て、私たち市民は、企業は、自治体は、2030年に向けて、そして七世代先の子どもたちのために、何にチャレンジしていくのか?世界的な科学者、環境活動家であるデヴィッド・スズキ博士が明快な言葉で贈るスペシャル・トーク。バレンタインデーでもあるこの日、きれいな空気や水、安心な食べ物を手にできる「あたりまえ」を未来の世代に残していくために、行動を起こそう!デヴィッドさんの記念トークに加え、第二部では、日本で火(エネルギー)、水、土、空気(気候変動)の分野で解決策を実践している人たちが登場。ワールドシフトネットワークジャパン代表理事の谷崎テトラさんの進行でお届けします!(公式サイトより)

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<概要>
*日時:2016年2月14日(日)14:00〜16:30
*場所:東京ウィメンズプラザ・ホール
*参加費:前売1500円/当日2000円/学生1000円
*定員: 250名(先着順)
*共催:ナマケモノ倶楽部/350.org Japan

<状況>
*トーク:デヴィッド・スズキ氏「Love Letter to the Earth〜きみは地球だ」
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・デヴィッド・スズキ(David Suzuki)
1936年カナダ生まれ。科学者、デヴィッド・スズキ財団代表、ブリティッシュ・コロンビア大学名誉教授。カナダ国営放送・CBCの長寿番組「ネイチャー・オブ・シングズ」のパーソナリティとして30年以上活躍。近代の科学的合理主義の限界を早くから指摘し、カナダ先住民の英知に環境問題解決のヒントを見出すなど、それまで白人科学者たちによって語られてきた環境学に、初めてマイノリティの思想を取り入れた。
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*質疑応答
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*ワールドシフトな生き方へ!〜空気・水・火・土・多様性
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・古野真氏(350.org Japan)       ・並河進氏(電通ソーシャルエンジン)2016-02-14_2508.jpg2016-02-14_2533.jpg

・進行:谷崎テトラ氏(ワールドシフトネットワークジャパン代表理事)
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・中村隆市氏(ウィンドファーム)      ・藤岡亜美氏(ナマケモノ倶楽部)
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>ナマケモノ倶楽部:http://www.sloth.gr.jp/events/david0214/
>ワールドシフト・ネットワークジャパン:http://www.worldshift.jp/

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カテゴリー:スペシャル・イベント | 投稿者 xbheadjp : 22:58

 

資本主義はどこに向かうのか?公開研究会@國學院大學:撮影記録

いつもお世話になっている國學院大學の古沢教授から「貨幣・コミュニケーション・地域の視点から現代資本主義の限界とオルタナティブの可能性、地球環境問題・エコロジー的制約の視点から現代資本主義はどう変わりうるのか、といった論点を柱に立てて、多角的に議論を深めたい」という主旨の公開討論会をお知らせ頂いたので、撮影記録にお邪魔しました。

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ふたたび株の急落や巨大マネー(資本)の変調・流動化に、世界経済は大揺れです。政治的な変調と重なり合って、将来の世界の行く末が見えにくくなっています。本企画のねらいは、昨今話題を呼んだトマ・ピケティ『21世紀の資本』が提起した資本主義の矛盾(格差・不平等の拡大)に対して、その資本主義の先をどう見通すかに焦点をあてています。あまりに大きなテーマなので、数時間の研究会では消化不良にならざるをえませんが、変調に揺れる経済に対してあえて大テーマを掲げた意味はあると考えています。

<概要>
*日時:2016年2月11日(木・祝)13「30〜17:30
*場 所: 國學院大学渋谷キャンパス 120周年記念2号館 1階2102教室
*参加費: 無料

<状況>
*報告:
・西部 忠氏(北海道大学大学院経済学研究科教授、進化経済学)
『貨幣・コミュニケーション・地域の視点から』
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第1報告は、3つの柱から問題提起しています。導入は現代のグローバリゼーション(資本主義)の解説(多少とも専門理論や学説を下敷きに展開)、そして教育が投資(人的資本論)としてしか考えない風潮の歪みを論じています。次に脱工業化とサービス・情報化に移行した現代経済(情報・金融資本主義)の歪み、一元的マネー(貨幣)経済がもつ危うさを批判しつつ、交換を支える貨幣の再構築へ向けた方向性(地域通貨、多元的交換・コミュニティ形成ツール)が提示されました。

・古沢広祐氏 (國學院大學経済学部教授、環境社会経済学)
『資本主義が転換する契機とは ― 環境・開発レジーム形成の視点から』
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第2報告では、資本主義を論じる視点・論点が多岐にわたることを踏まえ、ピケティの格差・不平等の分析が継続的に展開されている動きを紹介しました。それは大きな波紋を広げており、米国のサンダース旋風(民主党候補)に通じています。紆余曲折はあるものの、極点にまで達した新自由主義的資本主義(62人の富豪が世界人口36億人分の資産を保有)は調整局面にあり、偏狭なナショナリズムやファシズム的に傾斜するか、より公正で民主的な制度形成に向かうのか微妙な局面にある点にもふれました。方向性としては、旧来の国家制度だけではない多様な価値と政治形成、とくに新しい環境・開発レジーム形成が、企業の社会的責任を問い、協同・共生的な経済と社会形成の可能性につながっていく期待が示されました。

*コメント:伊藤 誠氏/室井 遙氏
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続くコメントとしては、とくに交換関係(貨幣)からの変革がはたして生産関係、生産様式につながるのか(伊藤、理論経済学)、貨幣と市場の意味性の回復への期待(室井、経済人類学)などといった論点などが述べられました。

*総合討論: 「 現代資本主義の矛盾克服の可能性を考える 」
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今回は、資本主義の可変性や拡大増殖する力のダイナミズムを視野に入れつつ、その弱点と不安定性を超えていく契機を、どこに見出せるかに焦点をあてようとした点にあります。必ずしも明解な答えを提示できていませんが、「資本に転化しない貨幣」(交換様式)の実践的な試みの重要性、逆流(暴走)する資本主義を抑え込む公的(政治権力)な制度介入の方向とともに地球市民的な多様なレジーム形成の役割の重要性が、メッセージとしては示されているかと思います。

>國學院大學:http://www.kokugakuin.ac.jp/economics/kei03_00170.html

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カテゴリー:脱成長/脱消費 | 投稿者 xbheadjp : 21:59