経済成長しかない日本の末路/オルタナティブ経済論序説��

経済成長は負債の成長
経済成長をGDP(国内総生産)の伸びとして考えると、それは国の生産力アップを示す数字であり、資本力や技術力、そして労働力をも総結集させた発展の証と見えます。しかし裏を探れば、需要を当て込んだ借金の積み増しに対するリスクテイクの賜物と捉えることも可能です。早い話が、個々人レベルで去年より多くの借金を背負っても、返済して余りある効果が見込めれば更なる借財を背負うだろうし、逆に返済の目処が立たない負債は歩の悪い博打と同じで、踏みとどまるのが定石でしょう。つまりGNPとは、国全体として借りまくった資金と当て込んでいた欲望との合致度合いでもあるのです。言い換えれば、国レベルの総計として、前年よりまして欲望が喚起され、去年を上回る借入が思惑通りに回収できたとき、それを「経済成長した」ということに他なりません。
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高度成長の源は安い石油
日本は戦後、アメリカの傘のもとで安い原油を思う存分調達できる立場にありました。ご存知のとおり、石油は動力や発電の燃料となるだけではなく、多種多様な化学製品の原材料としても重宝されます。特に太平洋戦争で米国の物量に圧倒された当時の日本人にとっては、まさに欲望の起爆剤だったのでしょう。その象徴が、三種の神器(白黒テレビ、洗濯機、冷蔵庫)であり、新三種の神器(カラーテレビ、クーラー、自動車)だったともいえます。大雑把にいえば、安い石油が容易に手に入った高度経済成長期には、それが錬金術の源となり、国民の生活向上意欲と産業界の投資意欲、国の財政出動意欲が相乗効果をもたらして、いわゆる資本主義国のショーケース的な成長を遂げたという解釈もおかしくはありません。

もっといえばバブル崩壊以降、失われた20年とも揶揄される時代に財政赤字が膨らみ、年金制度が崩壊し、さらには非正規雇用が増加して、結婚すら難しい状況に陥っている原因は、去年より多くの借金を抱え込むに値する、欲望をくすぐるに足る石油が高騰したことに、そして石油に替わる錬金術の源が、他に見当たらないことにありそうです。
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代替資源は原子力?
そうした経緯を踏まえて考えると、今の日本が抱える問題の本質は原発でもTPPでもなく、石油という欲望の起爆剤が効力を失ったにも係わらず、それを頼りに増殖してきた1億2千万あまりの人口を今も抱えていることにあります。ひところは自然エネルギーに対する期待が膨らみましたが、グリーン成長戦略云々は、残念ながら空騒ぎに過ぎませんでした。単純に考えても、小規模分散型の発電網を全国的に展開するにはインフラの再構築が必須であり、その整備を進めるには、今の使用量を遥かに超える化石燃料が必要というジレンマが待ち構えているのです。

一方でシェールガス革命に期待する向きもありますが、たとえその可採埋蔵量が発表どおりで無限に近いものだとしても、液化などによる運搬コストが重く伸しかかる日本の産業界に、勝ち目はありません。しかもその供給を安定的なものにするためには、TPPをはじめとする自由貿易とは名ばかりの不平等条約を呑み続けるしかないのでしょう。トドの詰まり、日本が国として経済成長という見果てぬ夢を追い、目先に迫る破綻を近視眼的に回避するためには、使用済み核燃料を莫大な廃棄費用が圧し掛かる「核のゴミ」としてではなく、「再利用可能な核燃料」として資産計上する究極の粉飾決算によってのみ成り立つ、「原発の発電コストは安い」という国策的詐欺に加担し、便乗するしかないのです。
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持続不可能な日本の末路は
再整理すれば、今の日本を覆う漠とした閉塞感は、政治家がアメリカの言いなりになっているからでも、済界が富を独占しようとしているからでもなく、安い石油を湯水のように使えた時代に、食料や資源を自国で賄える限界をはるかに超えるまで、人口を増殖させてしまった日本国民自体に元凶があります。我々1億2千万余の日本人は、既に持続不可能な状態に陥っているのであり、この国を維持するためには他国の経済成長に乗じて利ザヤを貪る他なく、極論すれば、日本の経済成長は世界を持続不可能に貶めることでしか成し得ないのです。

しかも、地球を蝕んでいるのは日本だけではありません。世界はいま、経済の国際化が加速するなかで、法令順守の網の目を潜りながらも、弱者から環境から、そして将来から富をかき集めることで利益を膨らませ続けているグローバル企業同士が、それぞれ更なる経済成長を渇望している各国政府を巻き込んで、過当競争を繰り広げているのです。資源も少ない、領土も狭い日本がまともにそこへ参戦したら、どういう社会になるかは火を見るよりも明らかでしょう。残る経営資源は有り余る人口、それだけなのですから。
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カテゴリー:オルタナティブ経済論序説 | 投稿者 xbheadjp : 2013年08月01日 10:20